苦味

夏を乗り切るために。知っておくべき“苦味”のコト 第5回(全5回)」

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野菜や山菜の適度な苦味や渋味・えぐ味もまた、食品独自の味であり、食品の風味上欠かせないものです。

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ちなみに、渋味とは舌粘膜の収れんによる物理的刺激で、化学的刺激である苦味とは味の種類が異なるものです。

「えぐ味」は苦味と渋味を混ぜたような、特に不快な味を指します。

野菜や山菜に含まれる苦味や渋味・えぐ味や褐変を起こす色素などを一般にアクと呼びます。調理の際にはアク抜きを行いますが、アクも食品が持つおいしさの要素です。苦味や渋味・えぐ味を完全に取り去るのではなく、おいしく感じる程度に残すようにあく抜きすることが大切です。

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苦味は一般に好まれにくい味だけに、以前から、薬品や加工食品の苦味を抑制する研究は行われてきました。しかし、甘味やうま味などの好まれる味に比べ、苦味自体の嗜好性の研究例は多くありません。

それでも最近では、苦味は成人の食嗜好性を考える上で重要な味として注目され、「究極の味」とも言われるようになってきています。

また、苦味成分から生活習慣病を予防するなど人体に有用な生理活性作用がつぎつぎに明らかになっています。苦味物質は、人体に必須の栄養素ではないため、摂らなくても生きていけます。

しかし、人間は苦味を取り入れることで生活に潤いをもたらし、味覚の世界を豊かにしてきました。苦味は人間だけが楽しむことのできる味です。苦味も含めた、幅広いおいしさの世界を味わいたいものです。

 

夏を乗り切るために。知っておくべき“苦味”のコト 第4回(全5回)」

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43128b0464fcf9a3978ce4fb23676b81_s お茶や赤ワインに苦味や渋味をもたらしているのはポリフェノールの仲間のカテキンで、動脈硬化など循環器での疾病の防止や、癌に対する予防的効果などがあると大きな話題になりました。

最近、ホップに由来するビールの苦味成分であるイソフムロン類にも、広範囲な生活習慣病に効果があることが分かってきました。

 

 

 

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チョコレートのほろ苦い味は、テオブロミンによるものです。

テオブロミンはカフェインによく似た物質ですが興奮作用がマイルドで、精神状態をリラックスさせる効果があります。

カフェインに記憶力をアップさせる効果があることが報告されていますが、テオブロミンにも集中力を促進させる作用があり、記憶実験でチョコレートを食べたグループの方が解答率が高いという結果が出ています。

近年、チョコレートの主成分であるカカオに含まれるポリフェノールには、抗酸化作用、動脈硬化の予防、抗ストレス効果などがあることがつぎつぎに報告されています。

 

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気分を変えたい時やストレスから開放されたい時に、コーヒーやお茶、チョコレートなどの苦い嗜好品が欲しくなるものです。

無意識に身体が、苦味物質がもつ生理的作用を望んでいるのでしょう。

調査によると、ヒトが何らかのストレスを受けた後には、苦味の感受性が低下し、苦味のある食品をおいしいと感じる傾向があります。

 

また、食に対する興味や関心が強いほど、食品の苦味を好む傾向も強くなり、ストレス解消の手段として苦味をより求めるようにもなるとも言われています。

 

 

夏を乗り切るために。知っておくべき“苦味”のコト 第3回(全5回)」

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 うま味の呈味成分は主にアミノ酸や核酸、塩味が塩類、酸味が酸と、種類が限られているのに対し、苦味を感じる苦味物質には多くの種類があります。植物に含まれる代表的な苦味物質にアルカロイド類があります。 これらの大半は、神経に作用する毒性あるいは生理作用があります。

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 身近なものではコーヒーやお茶の中のカフェイン、カカオ豆に含まれるテオブロミン、たばこのニコチンがこの仲間で、主にその生理作用が活用されています。

これらは、多量に摂取すれば有毒ですが、適度な量なら緊張を緩和させたり、逆に神経を興奮させて眠気を防止したり、気分転換や思考力を回復させます。

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 コーヒーは、13世紀にアラビアでコーヒー豆を焙煎する方法が発見されて以来、独特の香ばしい香りを楽しむ世界的な飲料となりましたが、それ以前は、豆をそのまま煮出して飲んでいました。

嗜好品というより覚醒用に用いていたといいます。お茶もはじめは薬用として使われていたといわれます。

 

苦い野菜の代表といえば、ニガウリとも呼ばれるゴーヤーです。

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独特の苦味は、ウリ科の植物に含まれるククルビタシンの仲間、モモルデシンによるものです。ククルビタシンには抗がん作用があることが知られていますが、モモルデシンにも血糖値を下げる効果や、健胃作用、食用増進作用があるといわれています。

つい最近まで、ゴーヤーは沖縄や九州のローカルな野菜でしたが、夏バテに効く健康野菜として、いまでは全国区の野菜になっています。

 

 

夏を乗り切るために。知っておくべき“苦味”のコト 第2回(全5回)」

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ビールやコーヒー・お茶・チョコレートなどのほろ苦さ、また、アユの塩焼きや、フキノトウなど春の山菜の苦味は、その食品の味に欠かせない要素です。 人間は長い間の食経験で、これらの苦い食品を楽しむ習慣を培ってきました。

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人間がおいしさを判定する要因には、食べ物の特性や生理状態・心理状態のほかに、背景要因として知識・経験も大きく作用しています。

ふだんは意識することはありませんが、食品の前提条件は、食べて安全であることです。「親がおいしそうに食べている」というのは、子どもにとって重要な情報です。

安全であることがわかれば、親の食べる苦味のある食品にも、子どもは手を伸ばすようになるのです。

そうした食経験の積み重ねが成長とともに嗜好を形成し、大人になると、苦い食品でもおいしいと感じられ、好んで摂ったりするようになるのです。

「苦味は大人の味」と言われる由縁です。

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苦味のある食品や飲料は成長過程で嗜好が獲得され、習慣性を伴うものも多く見られます。

継続して摂取することで苦味に対する嗜好を獲得することは、実験によっても確認されています。

 

 

夏を乗り切るために。知っておくべき“苦味”のコト 第1回(全5回)」

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「苦味」はビールやコーヒーなどの嗜好品や、珍味などには欠かせない味の要素です。「大人の味」といわれる苦味には、最近、さまざまな効用があることが分かってきました。

今回は、苦味をめぐるおいしさの世界を、探ってみました。

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「味覚」は、食べて有益なものかあるいは有害なものかを判別する、センサーの役割をしています。「甘味」、「塩味」、「酸味」、「苦味」、「うま味」のことを基本五味と呼びます。

このうち、「甘味」はエネルギー源である糖、「うま味」はたんぱく質、「塩味」はミネラル、「酸味」は有機酸への反応に基づく知覚です。

「甘味」、「塩味」、「うま味」は人体に不可欠な栄養素の存在を知らせるシグナルですが、「酸味」は腐敗のシグナルとしても働き、「苦味」の場合は多くの毒物が苦いことから、食べてはいけない有害物のシグナルとして機能しています。

そのため、酸味と苦味は不快な味と感じられ、本能的に避けられるのです。

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 味を感知できる最低の濃度を閾値といいますが、「苦味」の閾値は他の味に比べてはるかに低い値です。

食物を口に入れたとき、ごくわずかな量でも敏感に苦味を感知することで、毒物の摂取をさけることができるようになっているのです。

鼻をつまむと、ピーマンが食べやすくなる理由

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早いもので、今年も残りあと一カ月。 来年にうまくバトンを渡せるよう、

残りの日数を、大切に過ごしていければと思います。

今回は、「風味」の話です。

舌の味蕾は味を識別し、鼻の神経はにおいをかぎ分け、

それらの情報が脳で1つに統合されることにより、「風味」として認識されます。

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鼻をつまむと、苦手なものでも食べられてしまうのはなぜでしょう?

子供の頃、トマトやピーマンを鼻をつまみながら食べませんでしたか?

トマトやピーマンを嫌いな理由が、酸っぱいとか苦いとか味だけのせいならば、

鼻をつまんでも何の効果もありません。

鼻をつまんだら食べられるということは、

それは味そのものではなく、「においが苦手」だということになります。

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においの分子が鼻腔に入るには、二つの経路があります。

一つは、呼吸により鼻の穴を通り前方から入る場合です。

もう一つは、口の中、のどからほんの少し手前を通り後方から鼻腔に入る場合です。

口の中の食べ物のにおいは、鼻から息を吐き出すときに、かえって強く感じられるかもしれません。これは、肺から上ってきた呼気により口の中のにおいが運ばれ鼻腔に到達し、鼻の穴に排出されるからです。

鼻をつまんだ場合、口で呼吸することになります。

すると、口の中のにおいは鼻腔に上がらず、吸気とともに肺のほうへと送られてしまうので、口の中のにおいを鼻腔で感知しにくくなるのです。

なぜ薬は苦いのか?

味覚カウンセラー協会の斉藤です。 本日は、薬の苦味についての、お話です。

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西でも東でも、「苦い味のしない薬はない」という諺があります。 事実、薬には苦いものが多いです。 人を含む動物にとって、苦味は毒の味として認識されています。 しかし、毒の中には強い薬理作用を持つものが多くあり、その化学構造を少し変えることにより、毒性のない薬に変身するものもあります。

一般に多くの薬は、細胞膜に存在する受容体のポケット状の部分に結合して、 薬理作用を発現します。このポケットは水になじみにくく脂質になじみやすい性質を持っています。

薬の分子にも疎水性の部分があるので、薬はポケットにすんなり結合できて、 低濃度でも薬理効果が生じます。

疎水性の強い物質ほど、苦味が強い傾向があります。 苦味は、味細胞膜に存在する苦味受容体のポケットに苦味物質が結合するために生じます。

このポケットも疎水性なので、 薬のような疎水性の大きい物質は、ここに結合しやすいので苦いのです。