塩味

「料理人なら知っておくべき“塩味”のコト 第4回(全4回)」

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世界には食物に自然に含まれる以外の食塩を全く摂取していない人々がいます。これらの人々の間には高血圧の人がほとんど見られず、加齢とともに血圧が上昇することもないことが明らかになっています。 35_a

世界各地で食塩摂取量と血圧を測定したところ、食塩摂取量が多い地域ほど平均血圧が高いという正の相関関係が見られます。

私たちの身体は、生理的には1日に1g程度の食塩があれば生きていけるといわれています。

先進国の多くでは実際の摂取量はその10倍以上。塩分を取りすぎると高血圧になるおそれがあると、日本はもちろん世界各国で1日の塩分摂取の目標値を設定し減塩を指導しています。

しかし、すべての人が食塩をとると血圧が上がり、減塩すると血圧が下がるというわけではありません。食塩の摂取量によって血圧が変動する、食塩感受性のある人と食塩感受性のない人がいることが分かっています。

ただし、食塩非感受性だからといって食塩を多くとっていいわけではありません。食塩は喉頭がんや胃がんに関係あると考えられており、がん予防のためにも食塩の摂取制限が勧告されています。

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ストレスは食塩に対する欲求を高めるため、現代社会のストレスの多さも塩分摂取増の要因と考えられます。極端な減塩はそれ自体がストレスになってしまいます。

新鮮な旬の食材を使う、酸味やだしをきかせる、味付けにメリハリのある減塩を行うなど、おいしく減塩を続けることが大切です。

人よって適塩は異なります。QOL(Quality of Life /生活の質)を高めるためにも、その人にあった塩の取り方で、豊かな食生活を送りたいものです。

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「料理人なら知っておくべき“塩味”のコト 第3回(全4回)」

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塩味をおいしいと感じられる許容範囲は他の調味料にくらべるとたいへん狭く、薄すぎると美味しくなく、濃すぎると食べられないほどに感じます。 34_a

一般に、体液の塩分濃度0.9%と同じ程度の塩分濃度が調理の基本とされており、お吸い物や汁物はこの濃度よりやや薄目の味付けします。煮物は塩分比率が高くなりますが、これはご飯と一緒に食べることを前提に調理するからで、実際、ご飯と一緒に食べると塩味は薄められてちょうどよい味付けになります。

また、塩は味付けだけでなく、他の味とのバランスでさまざまな効果を発揮します。たとえば、おしるこに少量の塩を加えると却って甘さが引き立っておいしくなる、コンブやかつお節で出汁をとるとき塩を少量加えると旨みが増す、などです。

このように旨みや風味などを強調させる作用を「対比効果」といいます。

さらに。

寿司酢には塩を加えますが、これは塩によって酢の酸味が抑えられるからです。「塩梅(あんばい)がよい」という言葉がありますが、これも塩によって梅干しの酸味がちょうどよくなったことをあらわしています。

このように塩によって酸味が抑えられることを「抑制効果」といいます。

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調理の順序は「サシスセソ」とよく言われます。

サは砂糖、シは塩で、これは塩のほうが砂糖よりも浸透速度が早いため、味のしみこみにくい砂糖が先、という意味です。

炒め物などでは、塩には野菜などの水分を吸い出す脱水作用があるので、水っぽくならないように最後に塩を加えます。

塩は味付けだけでなく、細菌の繁殖を抑え保存性を向上させる働きをはじめ、多彩な働きがあります。

食品の物性を変化させる働きもあり、たとえばカリフラワーやジャガイモを茹でる際に塩を入れると、野菜類の細胞膜を強固にしているペクチン酸カルシウムのカルシウムが塩のナトリウムと置換され、細胞が柔軟になるので、柔らかくゆでるこことができます。

かまぼこなどの練り製品では、塩のタンパク質溶解作用が利用され、アシと呼ばれる歯ごたえを生み出しています。粘りのあるパン生地やうどんづくりにも塩が活躍しています。

 

魚や肉に塩をかけて焼くとたんぱく質の凝固を早め、旨み成分が外に流れ出てしまうのを防ぎます。里芋の皮をむいたら塩もみして煮ると粘りが出にくくなるのも凝固作用の一つです。

これらのさまざまな働きによって、塩は調理や食品加工に欠かせない存在となっています。

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「料理人なら知っておくべき“塩味”のコト 第2回(全4回)」

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塩の原料は主に海水と岩塩です。岩塩は大古の海水が蒸発して堆積したもので、もとをただせばやはり海水です。 33_a

塩の製造方法は大きく分ければ、

1)海水を太陽熱で蒸発させ、その塩の結晶を得る方法、

2)海水などを濃縮し、それを釜に入れて煮詰める方法、

3)岩塩の採掘、

になります。

日本では塩の専売制のもと、1972年以来、ほぼイオン交換膜法という日本独自の方法で海水から作った高純度の食塩のみが生産・流通していましたが、1997年に塩の専売制度が廃止され、現在は自由な塩の製造販売が可能となり、輸入塩を含めてさまざまな塩が販売されています。

海水中のミネラル成分は3.5%程度。微量な元素まで含めると100種類以上の物質が含まれています。

 

そのなかで塩化ナトリウムは約8割弱、次に多いのが塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、塩化カリウムで、これらでミネラル成分の99.6%以上を占めます。

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塩化ナトリウム以外のミネラル成分は苦汁(にがり)といい、豆腐の凝固剤として知られています。

苦汁が多く含まれる塩を「ミネラルの多い塩」という言い方をしますが、そもそも塩はミネラルのかたまりです。

塩化ナトリウムは舌を刺すような塩辛さですが、マグネシウムは苦味、カルシウムは甘味、カリウムは酸味があり、塩の味にそれらの成分が影響します。

にがりはその名の通り苦味があり、含有率が多すぎると味が悪くなりますが、適度にふくまれていればむしろ塩をおいしく感じさせるのです。

 

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「料理人なら知っておくべき“塩味”のコト 第1回(全4回)」

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料理の決め手となる塩は、人が生きていく上でも欠かせない重要なものです。塩にはどのような性質・働きがあり、私たちの食生活に関係しているのか、改めて探ってみました。 32_a

生命は原始の海から発生したと考えられています。ナトリウム、塩素、マグネシウム、カルシウム、カリウムなどのイオンに満たされた海で誕生した原始生命体は、進化の道をたどり、やがてヒトが出現しました。

こうして誕生したヒトの身体は、約60%が水分です。このうち3分の2は細胞内に存在し細胞内液と呼ばれ、残り3分の1は血液と細胞間を満たしている体液で合わせて細胞外液と呼ばれます。

この細胞外液には、ナトリウムや塩素など海水にとても似た構成比の成分が含まれています。60兆個あるといわれる人間の細胞は、いわば細胞外液という海に浮かんでいるのです。

細胞外液と同じく、細胞内液にもミネラルが含まれていますが、細胞内液の主なミネラルはカリウムで、細胞外液の主なミネラルはナトリウムと塩素です。

これらのミネラルが常にバランスをとりながら細胞内外の浸透圧を調節し、浸透圧の作用で栄養が細胞内に取り込まれ、また反対に細胞内の老廃物を細胞外に排出しています。

細胞膜を通したこのような物質の循環によって身体は機能し、生命活動が維持されています。

細胞外液の水分量と浸透圧を一定に保つため、体内には常に200g近くのナトリウムと塩素、つまり食塩が保持されています。

浸透圧以外にナトリウムは、体液のpHを一定に保ち、神経の伝達、筋肉の収縮などにも関与しています。また、塩素は胃液中の塩酸の成分として重要な役割も担っています。

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【新春】味噌汁塩分測定会!

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みなさま、明けましておめでとうございます! 本年も、味覚ラボをよろしくお願いいたします。

年明け一発目の企画としまして、 【味噌汁塩分測定会】を行いました。

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味噌汁の味って、家庭ごと、地域ごとに結構違いますよね。

薄味、濃い味、いろいろあると思います。

『しおみくん』は、そんな味噌汁を、

「塩分」の数値で測ってくれるツールです。

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うす味…0.6%

ふつう味…1.0%

から味…1.3%

上記濃度が目安のようです。

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さっそく、とあるお店でやってみました。(失礼すぎw)

場所は、新宿にあるランチの美味しい居酒屋です。

味噌汁だけが濃すぎるのでは?

と、前々から思っていました。

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結果は…。

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から味!(濃度…1.2%以上1.4%未満)

やっぱり…。

私の味覚は、どうやら、正しかったようです笑

やはり、元々が居酒屋さんということもあって、 料理の味付けが、全体的に濃くなってしまうかもしれませんね。

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味覚を客観的に評価してくれるツール、便利ですね! 以上、【味噌汁塩分測定会】でした。

みなさんのご家庭で作った味噌汁を持ち寄っての測定会

なんてものができればなあー。なんて。