【 レポート 】分子調理学者 石川伸一氏を招いての第2回「ミカクの学び場」開催しました

2017年3月4日(土)、渋谷ヒカリエ8Fにて、「第2回 ミカクの学び場」を開催しました。分子調理学者である石川伸一氏をゲストに招いて、「おいしさ×食感」について学ぶといった内容。当日は、食育に関心をお持ちの方から、料理研究家や大学講師といったプロフェッショナルの方まで、幅広いジャンルの方々が参加されました。以下、2時間という短い時間でしたが、数多くの質疑応答で賑わった勉強会のレポートとなります。

 

2016年のトレンドを振り返る

 味覚カウンセラー、味覚デザイナーといった資格講座の紹介や協会発足までの経緯をお伝えした後、市場調査の結果をもとに、2016年のトレンドを簡単に振り返りました。ダントツの伸びを示す「甘酒」、それに続く「はちみつ」「ドリンクヨーグルト」のトップ3に加えて、再人気の兆しが出始めている「トマトジュース」についての情報を共有しました。

 時短料理で用いられることの多い「アルミホイル」のカテゴリが好調であることについて、「全然気がつかなかった…」「言われてみれば、分かる気がする!」など、参加者された皆様、大変驚かれた様子でした。

 

おいしさの科学を学ぶ

『料理と科学のおいしい出会い』著者である、分子調理学者の石川伸一氏を招き、「食感×おいしさ」にフォーカスしながらも、《おいしいとは?》を考えるためのベースとなる知識を講義頂きました。石川先生が他で開催された第1回から第5回までの講義の要点を、今回2時間という短い時間に詰め込んだ、中身の濃い内容となりました。

先生の専門分野である「食品学」「調理学」「栄養学」のそれぞれについての簡単な解説から、勉強会はスタート。食べものの成分が保存中にどう変わるのか。調理によっておいしさがどう変わるか。摂取した栄養は健康にどう影響を及ぼすのか。3つの学問の特徴を教えて頂きました。

 

第1章「おいしいとは何か?」 おいしさに関わる要因や、おいしさ研究の難しさにも触れました。食品の機能性といった専門的なことから、カレーライス専用のお米の話など、「食の流れ」全体をどう俯瞰していけば良いのか、その心構えを改めて学べた章となりました。

 

第2章「おいしさをどう感じているのか?」おいしい料理を作る秘訣から、好き嫌いがあるのはどうしてか、といった素朴な疑問までを分かりやすいイラストを基に解説頂きました。また、今話題のニューロガストロノミーについて、その対局にあるであろう「おふくろの味」についてなど、おいしさが脳で生まれるまでのメカニズムを学びました。

 

第3章「おいしい風味・食感とは何か?」食品科学も関係する分野とあって、やや理系色の強い章でしたが、普段は触れる機会がないので新鮮だったといった感想も多く見受けられました。「嗜好成分」「色素成分」に始まり、「呈味成分」「香気成分」と続きました。なかでも特に、「味の相互作用」の話であったり、食材の香りの組み合わせである「フードペアリング理論」に関しては応用がきくとのことで、参加者の皆様、熱心にメモをとっていました。

 

第4章「おいしい食品をつくるには?」温度による風味の変化や、味とにおいの相互作用について学びました。また、ごはん粒を例に、食感(テクスチャー)に対する日本人のこだわりや、「病みつき」「飽き」について考えるヒントを学びました。また、大手レシピ検索サイトを例に、企業はどのようにビッグデータを活用し消費者を理解していこうとしているのかに触れました。

 

おわりに「分子調理研究会のPR」改めて、分子調理の定義を振り返りました。また、アイスクリームを例に、「分子調理“学”」と“「分子調理“法”」についても説明いただきました。そして最後に、2016年8月に設立された「分子調理研究会」についても紹介がありました。HPのリンクは、コチラです。

 

これまでで一番おいしかった料理は何ですか?

 石川先生の著書の中に、《食にまつわる体験をきくことは、その人の育ってきた環境や考え方などのバックグラウンドを知るのに大変いい“キラー・クエスチョン”だと思っています》といった箇所があります。今回の勉強会では、質疑応答の前に参加者各々にお答え頂き共有を行いました。現在は閉店してしまい食べることの出来ない幻のメニューから、あの日あの場所での味わいなど、その人の個性が垣間見える場になりました。

「そうそう、美味しいんだよねー」と共感し頷かれる方や、「食べてみたーいっ!」といったコトバも数多く聞こえました。

 

質疑応答

 おいしかった料理に関するエピソードを共有した後、石川先生への質疑応答タイムとなりました。日頃から疑問に思っていたこと、今回の講義内での疑問点などを、ひとりずつ質問。科学的には言い切ることが難しい、といったこともあり、先生も少し答えづらい様子を見せた場面もありましたが、それぞれの質問に対し、きちんと向き合い、丁寧に返答された印象でした。

運営サイドの時間の都合で、質疑応答の後半では、やや急かすような形となってしまいました。次回より、質問時間枠の拡大と、タイムスケジュールの見直しを行いたいと思っております。

 

参加者の声

・香りのペアリング理論に関して、すごく興味が湧いた。勉強会中に教わった参考サイトを是非じっくり見てみたいです。(40代/料理研究家/女性)

・第3章の「おいしい風味・食感とは何か?」の箇所は科学的過ぎたのかザッと説明して終わってしまったが、個人的には一番関心が持てたし、学びとなった。(30代/会社員/男性)

・内容が濃かったためか、あっという間の2時間だった。先生の話をもっと聞きたかった。(30代/料理人/男性)

・私は先生の著書を全て読んでいる。実際に間近で話を聞け、また質問にも答えて頂き、嬉しかったです。(20代/会社員・女性)

 

いかがでしたか。

プロフェッショナルな方を講師に迎えての「ミカクの学び場」。聞いて終わりのセミナーとは異なり、学んだ後で、考えて、問いを立ててみる。そのプロセスが参加者の皆様にとって、より良い機会になるのではないか、と私どもは考えております。ご参加のほど、お待ちしております。