春から学ぼう!“酸味”のコト 第4回(全5回)」

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酢には酸味や風味だけでなく、食品の保存性を増したり、変色を防止したり、たんぱく質を固めるといった多くの性質があり、調理の場面でさまざまに活躍をしています。

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酢の持つ強い殺菌力は大昔から知られ、古代バビロニアですでに食品を長期保存するためにピクルスが作られていたといわれます。

酢の中では食中毒菌は5分で死滅。2%の酢を添加したおにぎりには8時間の防腐効果が認められるといった研究報告もあります。酢を7~10%加える鮨飯ではさらに保存がきくことになります。

酢の強い抗菌作用は、酸とともに主成分の酢酸の働きが微生物の活動や繁殖を防いでいるといわれます。

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魚を酢洗いすると、表面についた細菌の増殖を抑制するとともに、魚の臭み成分であるアミン類に酸が反応して臭みも消えます。魚を煮るとき酢や梅干しを入れるのも生臭さを消すためですが、酢には肉や骨を柔らかくする働きもあります。

コハダやサバなど魚を塩じめしてから酢に浸す「酢じめ」では、魚の肉質に独特の食感が生じます。この「酢じめ」は、たんぱく質が酸によって変性するとともに、酸性酵素がたんぱく質を分解することによるものです。ただ、酢だけでは身くずれしてしまうので、最初の十分な塩じめが欠かせません。

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野菜や果物に含まれる物質(ポリフェノールやチロシン)は酵素の働きで酸化し、褐変する性質がありますが、酢でpHを下げれば酵素の働きを抑えることができます。

酢は味としての酸味を楽しむだけでなく、料理の下ごしらえにもさまざまな働きをする優れものの調味料なのです。

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